2026/08/07 22:23
興味のないことは、まったく聞かないし、覚えない。
そんな学生時代を過ごしてきた私ですから、ミシンの使い方なんて、まるで興味がありませんでした。
先生は一生懸命説明してくださっていたと思います。
……たぶん。
正直、何を教わったのか全く覚えていません。
お洋服だって、自分で作らなくてもかわいいものはたくさん売っています。
それなら時間をかけて作るより、お店でかわいい服を見ながら「どれにしようかな」と選んでいる方が、私にはずっと楽しかったんです。
そんな私も結婚し、子どもに恵まれました。
母になれたことは、本当に嬉しかった。
でも、子どもが幼稚園へ入園する頃になって、ふと思ったんです。
「あれ? 通園バッグって作るんだっけ?」
「ぞうきんも必要?」
「シューズ袋もいるの?」
その瞬間、頭の中は真っ白。
私はミシンはもちろん苦手ですが、手縫いはもっと苦手です。
だからといって、うちの子だけそこら辺で売っている簡単なバッグを持たせるのも違う気がする。
やっぱり……作るしかないのか。
そんな理由で、人生初のミシンを購入しました。
そして、中学生の頃に母から叱られた時とほとんど同じ、裏側はとても人には見せられないけれど、何とか使える通園バッグやシューズ袋などを完成させ、無事に幼稚園生活を迎えることができました。
役目を終えたミシンは、その後20年以上、押し入れの奥で眠ることになります。
押し入れの大掃除をしても、その場所だけは変わらない。
まるで「ここが私の定位置です」と言わんばかりに、ずっと眠り続けていました。
そのミシンが再び目を覚ますことになったのは、ご高齢のおばあちゃまのお困りごとを解決したいと思い、仕分けのできるコインケースを考え始めた時でした。
紙でもない。
箱でもない。
お財布として使うには、仕切りを布で作るしかない。
そう気付いた瞬間、思い切って押し入れの奥に眠っていたミシンを引っ張り出しました。
カバーは掛けてありました。
そぉーっとカバーを外すと、長年積もったほこりが、うっすら膜になっていました。
指でそっとなぞると、ほこりがびっしり。
「うわぁ……きっちゃなーい。」
まずは掃除から。
きっとミシンも、久しぶりに日の目を浴びて喜んでいたと思います。
でも、掃除したからといって縫えるわけではありません。
糸ってどう掛けるんだっけ?
針の向きって、決まりがあったよね?
もちろん説明書なんて残っていません。
一人で「あーでもない、こーでもない」と独り言を言いながら、半日以上かけて、ようやくミシンが動きました。
だけどまだ作品は作れるわけではありません。
型紙もないし、サイズも決まっていないのだから。
何日も試行錯誤を繰り返し、ようやく仕切りを縫う方法を思いつき、初めて型紙が完成しました。
「やっとここまで来た。」
そう思ったのも束の間。
本当の苦労は、ここから始まったのです。
コインケースの幅は、わずか5.5センチ。
なのに縫っても縫っても、思うようにはいきません。
縫い線をまっすぐ縫えないです。
サイズも合わない。
がま口より長すぎたり、短すぎたり。
縫ってはほどき、ほどいては縫い、
またほどいて……。
その繰り返しでした。
今では、仕切り部分は全体でも誤差3ミリ以内になるよう型紙を作り、小さな作品ですが、しつけも3回ほど行います。
すごくシビアにやってますが、それでもこの内側の部分は40分ほどで作れるようになりました。
でも、あの頃はたった一つでも、7時間かかっても出来なかった。
それでも諦めなかったからこそ、今のK-sensibleがあります。
あの頃は、まさかこのコインケースが口コミだけで広がり、半年で200個もの作品がお客様のもとへ旅立つことになるなんて、想像もしていませんでした。
そのお話は、また次回。
https://sensible.shopselect.net/items/153482980

